依存症の治療で看護師が苦労すること

依存症の治療に従事する看護師にはさまざまな苦労があります。まず依存症の治療を始めるにあたっては、本人が依存症であることを自覚することが必要です。しかしながら、さまざまな問題が生じていても、本人が自分が依存症に陥っていることを認識していないケースが多いもの。家族などから相談を受けた看護師は、このような事情を踏まえて本人に接する必要が出てきます。

そして治療を始めてから遭遇する可能性があるのが、患者の離脱症状です。アルコール依存症や薬物依存症の人は、離脱期にいろいろな症状が現れてきます。抑うつ症状や強い不安感、イライラ、幻覚などは、離脱期の代表的な症状です。患者によっては興奮して大声を出したり、暴れたりする可能性もあります。

こういった症状が現れたときに、看護師はほかのスタッフと協力しながら冷静に対処をすることが必要になってきます。離脱症状は、数日程度続くこともあります。入院での治療をしている場合は、本人が危険な行動をしないように常に状態をチェックしておかなければなりません。依存症の人は、うつ病などのほかの病気を合併しているケースもあるため、注意深く患者をみることが大切です。

依存症のケアをする看護師は、医師の指示を仰ぎながらその人に合った方法で看護を進めていくことが求められます。離脱症状がおさまった後は、本人の心のケアはもちろん、家族を交えて今後の治療についてよく話し合う必要があります。依存症は再発しやすく、家族の協力を得ないと完治が難しいケースも多いものです。そのため、本人や家族と良好な信頼関係を築くことも、看護師の役割と言えます。

依存症の人の治療は、心と体の問題が絡んでいるため想像以上に難しいもの。依存症の患者と関わる看護師は、依存症の治療のポイントをしっかり勉強しておくことが重要です。